夢を叶えたオールドルーキー!パイレーツ桑田に戦力外通告

posted by BigTaka


戦力外通告前日、ジャイアンツ戦に登板した桑田=13日、PNCパーク(AP)

 先週末、桑田真澄はパイレーツの一員として最後となった遠征地、サンフランシスコにいた。『野球は、素晴らしいスポーツ。だからこそ、全身全霊で戦いたいと思うし・・・ホント、野球は素晴らしい。』土曜日登板のなかった試合後、まるで何かを悟るように優しい表情で語った。

それからたった3日後の14日、メジャーリーガー桑田にパイレーツから戦力外通告という厳しい決断が下された。前日のジャイアンツ戦で1回を投げ、5安打5失点という悪い内容に防御率も9点台まで落ち込み、自身も「もう後がない。厳しい場面で投げていても、やはり結果をずっと残していかないといけない、と思っています」と次回の登板での挽回を誓ったが、メジャーリーグという厳しい舞台は、再び桑田にそのチャンスを与えることはなかった。

この日、いつも通り桑田は笑顔でPNCパークを訪れた。試合前、ロッカールームが報道陣に開放されると桑田の姿がそこにない。ちょうどその時、桑田は監督室に呼びだされ、リトルフィールドGM、トレーシー監督、コルボーン投手コーチから”事”を告げられていた。

そんなつらい状況のなか記者会見で、”男”桑田は『ここまで投げさせてくれて感謝している。もう十分』と笑顔さえみせた。日本でのコーチの経験もあり桑田の最大の理解者だったコルボーン投手コーチも『クワタは多くのものを与えてくれ、私も特別な思いで接していた。どんな時でも、マスミ・クワタは私のそばにいる』と別れを惜しんだ。

男39歳、夢を諦めずに自分の力で叶えたメジャーリーグという夢舞台。その世界がいかに厳しいかは、誰よりも本人がわかっていた。「こういう世界だから仕方ない。パイレーツには、ここまで投げさせてくれて感謝している。何も悔いなしです。(今後については)家族が来ているので、しばらく時間をもらって決めたい。」と穏やかに語る。心の中では、きっと溢れ出ているであろう涙をこらえながら・・・。

昨日から、夫人と息子2人が夏休みを利用して、日本から応援に来ていた。時差ぼけの中、眠い目を擦りながら、昨夜のジャイアンツ戦を観戦した。皮肉にもそれがメジャーでの最後の登板となってしまった。決して、家族に見せられるいい投球内容ではなかったが、父親として、いちメジャーリーガーとして桑田真澄18番の最後の勇姿は、鮮明に家族の脳裏に焼き付いたことだろう。普通なら、”最後”という悲しいエンディングになるところ・・・だが、39歳の夢を叶えた自身に満ちたオールドルーキーは、きっとそんな姿を家族にみせられたことを心の中で喜んでいることだろう。

戦力外通告となった今、ルール上まだ桑田には他球団トレードやマイナーリーグとの再契約など、残留の可能性はある。しかし、39歳という年齢に加えシーズンも終盤という事を考えるとやはり”引退”という2文字が周囲ではささやかれる。「家族が来ているので、しばらく時間をもらって相談して、週末ぐらいまでに決めたい」と桑田本人は語るが、きっと心の中での決断はもう出来ているはず。夢を叶えた男に”後悔”はない。

チームを去る前にロッカールームでチームメイト、関係者に挨拶をしてまわった桑田。ある関係者の手には、『ありがとう。桑田真澄 18』と文字の入ったサインボールが握られていた。先週末、サンフランシスコで聞いた言葉の重みがグンと増した。桑田真澄から、野球の美しさを再度、認識させられた。

BASEBALL IS BEAUTIFUL

| 2007.8.15 | BACK TO TOP TOP |